番外編(川島雄三作品) NEW 2014.3.21
『女であること』 川島雄三監督
1958年 東京映画

NEW 2018.4.10 画面写真とコメント追加


日活から東宝傘下の東京映画に移籍した最初の作品。
川島映画の中で、最も成瀬映画の雰囲気を醸し出しています。
原作が川端康成、脚本が田中澄江、井手俊郎と川島雄三の共同脚本。
キャストは原節子、森雅之、香川京子、久我美子、中北千枝子、三橋達也、太刀川洋一など。
残念ながらDVD、ビデオとも映像化されたことは無いです。
スカパー日本映画専門チャンネルで10年以上前に放送されたことがあります。
東宝・東京映画時代の川島映画の中では最もオーソドックスで品のいい文芸映画でしょう。


舞台の中心となるのは東京の多摩川に面した大田区田園調布。東急東横線「多摩川駅」がある。
写真の橋は中原街道の「丸子橋」。
この橋は映画の中に何度も登場するが、登場人物が橋を渡って神奈川県川崎市側に行くことは無い。
(タイトルクレジットの後のファーストショットは川崎側からの風景)
橋が登場しても登場人物が向こう側に渡らない『洲崎パラダイス・赤信号』に似ている

2018.4.10
写真は「多摩川浅間神社」の境内横の展望テラス。
ここは2017年の大ヒット映画『シン・ゴジラ』で自衛隊の前線基地が置かれたロケ地として有名。
この展望テラスも映画に出てくる。丸子橋もゴジラに破壊されてしまう。



寺木妙子(香川京子)が恋人の有田真(石浜朗)と散策する「多摩川浅間神社」。
境内のレイアウトは少し変わっているが、下の写真の灯篭は映画に映っているものと同じだと思われる。
映画では木の建物は無く、下に東急東横線の電車が動いているのが見える。

 

 


上記の神社のすぐ近くにある「亀甲山古墳・多摩川台公園」。二人は神社の後にここを散策する。
映画では木がまだ小さく、下の多摩川や東急東横線の電車が見える

 


佐山市子(原節子)が、家に下宿している香川京子とその恋人の石浜朗を多摩川浅間神社の階段の上に見つける場所。
神社の前の道。丸子橋、道のレイアウト、植え込みなど映画の中とほとんど一緒。


 

 


弁護士の佐山貞次(森雅之)と妻の市子(原節子)夫婦の住む邸宅があったと推察される場所。
映画では丸子橋のすぐ近くの高台にある。映画を見る限り写真左側のよう。
現在の住所だと大田区田園調布1丁目。

 


上記写真を逆から見た写真。通りは中原街道。その右に進むと多摩川と丸子橋。
正面の建物のところは、映画では木々になっている。


朝、車に乗って出勤する森雅之を見送りに走ってきた三浦さかえ(久我美子=原節子の大阪の友人の娘で佐山家
に一緒に住んでいる)と車を止めた森雅之が話すシーン。
後ろにこのコンクリートの壁がほぼ変わらない姿で映っている。

 


ラストシーン。雨の中、久我美子が原節子にお別れを言いに佐山家を訪ねてくる。
傘を差している着物姿の原節子と雨に濡れたままの白いレインコートの久我美子の対比。
二人の表情、特に雨に濡れた久我美子(レインコートで頭を覆っているので凄い小顔)はとても美しく、
この二人のやり取りは成瀬映画のワンシーンを見ているようだ。
川島映画の中でも名シーンの一つである。
家の中に入れようとする原節子を振り切って、雨の中久我美子は丸子橋の方へ走っていく。
傘を差してそれを見つめている原節子を手前にした俯瞰のロングショット。音楽とともに終のクレジット
映画では高台からの俯瞰で映すが、写真の道を久我美子が走っていく。
原節子が傘を差して立っていたあたりからのアングル。

 


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